遺産分割のやり直しにより贈与税、不動産取得税が課税される!

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家族や親族が亡くなって行うことはたくさんあります。相続はその中でも重要な項目の一つですが、お葬式や各種手続きなど、悲しみに暮れる間もなくやらなければならないことは山積みです。確かに相続は重要なことではありますが、メインは金銭問題ですから親族の間で揉め事が起こるケースも非常に多いです。早々に終わらせたい、様々な段階を踏んだり手続きを行ったりするのが大変という思いから、遺産分割をないがしろにしてしまうこともあるかと思います。この遺産分割を後からやり直したいと思ったとき、もう一度遺産分割を行えるのかどうかが気になりますよね。

今回は、遺産分割をやり直すことは可能なのか、遺産分割協議が無効となる4つのケース、遺産分割のやり直しで課税が発生するケースなどをまとめて解説していきます。遺産分割のやり直しについて知りたいという方は今回の記事を参考に、概要や注意点を把握してみましょう。

遺産分割をやり直すことはできる?

被相続人が残した財産を相続人が遺産分割協議の末に受け取ることを遺産分割といいますが、この遺産分割をやり直すことができるかどうかという疑問を持っている人は少なくありません。例えば遺産分割が終了した後に多額の相続財産が発見されたり、本来相続できるはずの相続人を除外して遺産分割が行われていたりした場合には相続をやり直したいと思いますよね。原則として遺産分割協議を行って決定された遺産分割は簡単にはやり直すことができません。しかしその遺産分割が法律的に無効であった場合や、相続人全員がやり直しを望んでいる場合、遺産分割を再度行うことができます。このようなケースには可能である場合とそうでない場合があるので、自身のケースがどちらに当てはまるのかしっかり見極めなくてはいけません。

やり直すことが可能なケース

それではまず、遺産分割のやり直しが可能なケースから見ていきましょう。法定相続分に則った遺産分割を行わず、協議による遺産分割を行った場合でのみ、遺産分割のやり直しが可能になります。つまり遺言書による指定分割や、調停や審判などで行われた遺産分割ではなく、遺産分割協議で成立した遺産分割のみがやり直しを認められているということです。
法律的に遺産分割協議が無効であるとされたり、それ以外の理由から遺産分割を改めてやり直したいとなったりした場合、相続人全員の合意が得られれば遺産分割をやり直すことができます。このことを「合意解除」といいます。

やり直すことが不可能なケース

法定相続分に則った遺産分割以外の方法は、相続人の協議によるものか、被相続人の遺言書によるものか、はたまた調停や審判によって成立するものがあります。遺産分割をやり直すことが不可能なのは、調停や審判によって成立したケースです。遺産分割調停や遺産分割審判は、協議や遺言書によって決まらない相続に対して家庭裁判所が仲介することで遺産分割を決定するというものです。家庭裁判所を通して成立した遺産分割では、基本的にやり直しは認められていません。
このような遺産分割を行った後にやり直しを要求する場合には、やり直しを認められるだけの特別な事情がなくてはいけません。例えば、参加するべき相続人が参加せずに遺産分割が行われていた場合や、反対に相続人ではない人が参加していた場合などでは、調停や審判によって成立していてもやり直しが認められることもあります。

遺産分割が無効の場合にやり直す4つケース

遺産分割をやり直すケースでは、相続人全員が遺産分割の合意解除をする以外に、行われた遺産分割協議が無効と判定されてやり直しとなることもあります。ここでは遺産分割が無効と判定される主な4つのケースについてご説明していきます。

    1. 遺産分割協議に相続人全員が参加せずに行われたケース
      このケースでは、行われた遺産分割協議が法律上無効と判定され、遺産分割そのものが取り消されます。遺産分割協議は相続人全員が揃った状態で行われるものなので、参加するべき相続人がそもそも参加していなかった、参加するべき相続人が後から発見されたなど、相続人全員が参加していなかったことが発覚すればその遺産分割協議をやり直す必要性が生じます。例えば被相続人の前夫や前妻の子供、認知されている非嫡出子などの相続権がある人物を、以前からその存在がわかっているにもかかわらず、わざと除外して相続が行われた場合などでは遺産分割協議が成立したことにはなりません。
    2. 相続人ではない人が遺産分割に参加したケース
      相続人ではない人が遺産分割に参加した場合も、その遺産分割協議は無効となります。遺産分割協議は相続人全員で行われ、また、相続人しか参加できないものとなっています。相続人でない第三者や、相続権を失った人物が参加していた場合も有効な協議分割でないと判定され、やり直す必要が出てきます。
    3. 民法上の法律行為の無効に該当するケース
      相続人の不参加、相続人以外の参加以外にも、遺産分割協議を行う上で、法律行為の無効に該当するとしてやり直しとなるケースもあります。

      • 相続人の中に認知症や知的障害など意思能力の欠いた者がいる場合
      • 相続人の誰かが財産を隠していた場合

      上記のようなケースなどでは、遺産分割は無効とされます。認知症や知的障害など、何らかの事情が原因で正常な判断が得られないとなった場合には、相続人の代理人を選出しなければいけませんし、遺産分割が終了した上で発見された財産を新たに分割することができないとなると、再度分割協議を行わなくてはいけなくなります。また、判断能力に欠けるとされた相続人の署名押印を遺産分割協議書に勝手に利用するなどは犯罪行為にも該当する場合があります。このような場合では多少手続きが面倒になってしまいますが、成年後見人制度を利用するなどして正しく相続を行う必要があります。

    4. 民法上の法律行為の取消事由があるケース
      法律行為の無効だけでなく、法律行為、あるいは意思表示の取消事由にあたるケースもやり直しとなることがあります。

      • 相続人の中に未成年者がいるにもかかわらず、法定代理人がいなかった場合
      • 遺産分割協議を進める上で、ある相続人に対して詐欺、脅迫行為があった場合
    5. 相続人の中に未成年者が含まれている場合、そのことを無視して相続を進めることはできません。遺産分割協議に未成年の相続人が参加する場合、代理人を選任する必要があります。また、相続人を騙す、脅すなどの行為は取消事由にあたるので、そのような行為があった場合には遺産分割協議が無効となります。

不動産取得税がかかるケースがある!

既に終了した遺産分割協議をやり直すことができるケースや具体例を理解したところで、次はやり直す際に注意しなければいけないことについてご説明していきます。

法律上も問題なく遺産分割協議を再度行うことは可能ですが、その際には課税問題に注意しなければなりません。遺産分割が完了した後に財産を移動させるとなると、財産を贈与、または譲渡したとみなされてしまい、課税されてしまうことがあります。そもそも相続というのは、相続した財産に応じた相続税を支払う、贈与された財産には贈与税を支払うなど、税金問題と切っても切れない関係にあります。再度分割する際に移動した財産にもそれは適応されます。相続税を納めたにもかかわらず請求されてしまいますし、贈与税になると税率も高いことから、基本的には遺産分割協議のやり直しは行わないほうが得策でしょう

贈与税が課税されるケース

一度完了したと判断された遺産分割を再度行う場合、贈与税譲渡所得税が課税されることがあります。贈与税が課税されるケースとしては、相続人の間で財産が移動したことにより発生するのが主です。この際にかかる贈与税というのは相続税よりも高額なため、遺産分割のやり直しで思わぬ出費を招くことになってしまいます。譲渡の場合は譲渡所得税が課税されます。どちらにしても相続財産に応じた税金を支払うことになってしまうので注意が必要です。

不動産取得税が課税されるケース

贈与税や譲渡所得税の他、遺産分割のやり直しで不動産取得税が課税されるケースも存在します。登記が必要な財産の場合、財産を移動する時点で名義変更が必要になります。財産が不動産の場合、名義変更により不動産を取得したとみなされて不動産取得税が課税されてしまいます。さらに、名義変更には登録免許税も課税されてしまうので、場合によっては多額の納税を迫られることになるのです。相続時にはかからなかった不動産取得税が、遺産分割のやり直しで課税されてしまうのでこちらも注意が必要になります。所有権を移転する上で生じるトラブルを防ぐためにも、遺産分割のやり直しを検討する際には、弁護士や税理士などの専門家に一度相談することをおすすめします。

まとめ:遺産分割のやり直しにより贈与税、不動産所得税が課税される

一度完了したと判断された遺産分割は原則やり直すことができませんしかし相続人全員が合意の上で遺産分割を解除するとなった場合や、法律的に問題がある・無効になる遺産分割協議が行われていた場合は、遺産分割のやり直しが認められます。遺産分割のやり直しを行う上で、相続人の間で財産の移動が認められると贈与税や譲渡所得税、不動産取得税が新たに課税されてしまうこともあります。本来相続が終了したはずの財産が動くわけですから、贈与や譲渡とみなされてしまうのです。法律行為の無効・取消事由に該当するケースでは、単純に遺産分割協議をやり直すだけでなく、税務上の問題もやり直しが効くこともあるので、専門家に相談してみましょう。
遺産分割方法は様々あり、どのように分割するか決まらない場合でも家庭裁判所を通して相続を解決に導くこともできます。面倒だから、辛いから、と後回しにしないで、できるだけ一度の遺産分割で相続を終わらせるべきです。

やり直しをしないで済むように、

  • 専門家に相談する
  • 相続について勉強しておく
  • よく考えて相続を行う

上記のことに気をつけて行動しましょう。万が一遺産分割をやり直すことになった場合でも、税理士などの専門家に事前に相談するのが良策です。