【株式の相続】評価方法・税金ついて解説!

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株価は毎日変動します。しかし相続税の申告のためには適正な評価額を出さなくてはなりません。どのようにして計算するのでしょうか。またそもそも株式の相続とはどんなものなのでしょうか。今回は、その複雑な情報について、詳しく解説していきます。

株式の相続とは

株式の相続とはどういったものなのでしょうか。
株式の相続と、他の財産相続との違いをご説明していきます。

評価額について

現金・預貯金の評価額は、通帳に書かれているそのままの金額です。
定期預金の証書などは利子が付いて額面よりも少し多くなりますが、基本的に同じです。

不動産(家屋・土地)は毎年4月1日に固定資産の評価額が更新されます。
長期的に見ると相当の差はあるかもしれませんが、一年単位では変動額はそこまで大きくありません。

では株式(有価証券)の評価額はどうでしょうか。
株式の価格は毎日変わります。しかも大幅に変わることもあります。
株式は高騰したり、暴落したりする可能性があります。何倍の価値になることもあれば、反対に、会社が倒産したりしてしまうと評価額は0円です。ここが他の財産との大きな違いです。

株式のメリットとデメリット

現金を分けるときは、相続人で法定相続分どおりに分けるのが一般的です。
しかし株式の場合は、大抵一人の人がすべて相続することになります。株式を持ちたがらない方もいらっしゃるでしょうし、そのほうが何かと都合が良いからです。

株式を持っていると株主総会での議決権が与えられます。毎年の配当金ももらえます。さらに株主優待券を受け取ることができれば多くの恩恵を得られます。

小さい会社ですと株式は上場されておらず社長が大半を持っています。
そうした場合、株式には会社の方針を決める力さえあるのです。
しかし株式には評価額が下がるというおそれも常にありますので、現金と比べてどちらが良いということはありません。

株式を相続せずに放置しておいてもいいか

被相続人の死後、銀行に預けてある預貯金は凍結されます。
相続が終わるまでは動かせません。

不動産についても相続人全員で共有している状態になるので売却することはできません。

株式はどうでしょうか。
株式も同じく相続が終わるまで動かせません。
自分に法定相続分が2分の1あるからといって、株式の2分の1だけ売ろうとしてもそれはできません。

そのため、早めに手続きをすることが必要となります。
この手続き自体も株式の方が預貯金より複雑で面倒です。
現金のように、お金を銀行口座に振り込んで終了ではないのです。

株式の評価方法

株式の評価方法は大きく分けて3つあります。

・上場株式
・気配相場等のある株式
・取引相場のない株式(上場されていない株式、未公開株)

の3種類です。

それぞれについて説明しますが、非常に複雑な仕組みとなっています。
そのため、インターネット上にはあまり正確ではない情報もありますので、鵜呑みにしないよう注意しましょう。

上場株式の評価

最も信頼できる情報源として国税庁のホームページには以下のように書かれています。

上場株式とは、金融商品取引所に上場されている株式をいいます。
上場株式は、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の最終価格によって評価します。
ただし、課税時期の最終価格が、次の三つの価額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。

1 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
2 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
3 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

なお、課税時期に最終価格がない場合やその株式に権利落などがある場合には、一定の修正をすることになっています。
以上が原則ですが、負担付贈与や個人間の対価を伴う取引で取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価します。

引用元:上場株式の評価 -国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4632.htm

では具体的にどういうことなのか解説します。

基本的に上場されている株式の評価は、被相続人が亡くなった日の終値で計算します。
終値というのは、その日の最後の取引値のことを言います。

しかし、株価というのは日によって高騰したり暴落したりすることがあるので、それだけに合わせて課税していると不公平なことが生じてしまいます。

例えば、AさんとBさんが同じ月に同じ株式を同じだけ相続したのに、その株式に対する相続税の課税額が2倍以上違うということが起きてしまう可能性があるわけです。
それで課税の公平を保つために毎月の平均値からで一番低い額のものを採用して評価額が決まります。

上場されている株式は、次の4つのうち一番低い価額で評価されることになっています。

・課税時期(被相続人が亡くなった日)の終値
・課税時期の月の毎日の終値の平均額
・前月の毎日の終値の平均額
・前々月の毎日の終値の平均額

ただし株式の取引は365日行われているわけではありません。
土日祝日と年末年始は休みです。
課税時期(被相続人が亡くなった日)に取引がないこともあります。
そのような場合は、その日の前後の日のうち近い方の日の終値で評価します。

また個人間の譲渡や負担付贈与の場合は、課税時期の終値と決められています。

気配相場等のある株式

気配相場のある株式は、国税庁のホームページには以下のように書かれています。

“気配相場等のある株式とは、日本証券業協会の登録銘柄や店頭管理銘柄あるいは公開途上にある株式をいいます。”

引用元:気配相場等のある株式の評価 -国税庁

また、気配相場のある株式の評価方法は以下のように記されています。

“気配相場等のある株式は、次のように評価します。

(1) 登録銘柄や店頭管理銘柄の評価

登録銘柄や店頭管理銘柄は、日本証券業協会の公表する課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の取引価格によって評価します。
この場合、その取引価格に高値と安値がある場合は、その平均額によります。
ただし、その取引価格が、次の3つの価額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。

・課税時期の月の毎日の取引価格の平均額
・課税時期の月の前月の毎日の取引価格の平均額
・課税時期の月の前々月の毎日の取引価格の平均額

なお、課税時期に取引価格がない場合や、その株式に権利落などがある場合には、一定の修正をすることになっています。
以上が原則ですが、負担付贈与や個人間の対価を伴う取引により取得した登録銘柄や店頭管理銘柄は、日本証券業協会の公表する課税時期の取引価格によって評価します。

(2) 公開途上にある株式の評価

株式の上場又は登録に際して、株式の公募又は売出しが行われる場合における公開途上にある株式の価額は、その株式の公開価格によって評価します。また、株式の上場又は登録に際して、公募等が行われない場合における公開途上にある株式の価額は、課税時期以前の取引価格等を勘案して評価します。”

引用元:気配相場等のある株式の評価 -国税庁

国税庁のサイトに書いてある上記内容について解説します。

登録銘柄、店頭管理銘柄、公開途上にある株式のことを合わせて「気配相場のある株式」と言います。
登録銘柄と店頭管理銘柄の評価方法は、上場株式と全く同じです。
次の4つのうち一番低い価額で評価されることになっています。

・課税時期(被相続人が亡くなった日)の終値
・課税時期の月の毎日の終値の平均額
・前月の毎日の終値の平均額
・前々月の毎日の終値の平均額

課税時期に取引がない場合、その日の前後の日の近い方の日の終値で評価します。
個人間の譲渡や負担付贈与の場合は、課税時期の終値と決められています。

公開途上にある株式についてですが、株式公開の途中で被相続人が亡くなってしまった場合、まだ取引所での売買がないので上場株式と同じ計算は不可能です。

亡くなった時点で公開はされませんでしたが、もし公開されれば一定の価格がつく予定の株式です。
そのため、証券会社などが市場に株式を売り出す際に通知した株式公開価格によって、評価額が決まります。

取引相場のない株式の評価

取引相場のない株式の評価について、国税庁のホームページには以下のように書かれています。

“ 取引相場のない株式(「上場株式」及び「気配相場等のある株式」以外の株式をいいます。)は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等か、それ以外の株主かの区分により、それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価します。”

具体的には以下のような方法になります。

“1 原則的評価方式

原則的評価方式は、評価する株式を発行した会社を総資産価額、従業員数、及び取引金額により大会社、中会社又は小会社のいずれかに区分して、原則として次のような方法で評価をすることになっています。

(1)大会社

大会社は、原則として、類似業種比準方式により評価します。類似業種比準方式は、類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の三つで比準して評価する方法です。
なお、類似業種の業種目及び業種目別株価などは、国税庁ホームページで閲覧できます。

(2)小会社

小会社は、原則として、純資産価額方式によって評価します。純資産価額方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。

(3)中会社

中会社は、大会社と小会社の評価方法を併用して評価します。”

“2 特例的な評価方式

取引相場のない株式は、原則として、以上のような方式により評価しますが、同族株主等以外の株主が取得した株式については、その株式の発行会社の規模にかかわらず原則的評価方式に代えて特例的な評価方式の配当還元方式で評価します。配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。”

“3 特定の評価会社の株式の評価

次のような特定の評価会社の株式は、原則として、(1)~(5)については純資産価額方式により、(6)については清算分配見込額により評価することになっています。

なお、(1)~(4)の会社の株式を取得した同族株主等以外の株主については、特例的な評価方式である配当還元方式により評価します。

(1) 類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」のうち直前期末の比準要素のいずれか2つがゼロであり、かつ、直前々期末の比準要素のいずれか2つ以上がゼロである会社(比準要素数1の会社)の株式

(2) 株式等の保有割合(総資産価額中に占める株式、出資及び新株予約権付社債の価額の合計額の割合)が一定の割合以上の会社(株式等保有特定会社)の株式

(3) 土地等の保有割合(総資産価額中に占める土地などの価額の合計額の割合)が一定の割合以上の会社(土地保有特定会社)の株式

(4) 課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において開業後の経過年数が3年未満の会社や、類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の直前期末の比準要素がいずれもゼロである会社(開業後3年未満の会社等)の株式

(5) 開業前又は休業中の会社の株式

(6) 清算中の会社の株式”

引用元:取引相場のない株式の評価 -国税庁

以上のように、取引相場のない株式の評価は株主が誰かということや会社の大中小の規模によって計算が異なります。
取引相場のない株式は、その文字通り取引されているわけではないので客観的な評価基準がありません。

そのため、取引相場のない株式は上場株式と評価基準が違いますし、計算も非常に難しいのです。
取引相場のない株式の相続でお悩みの場合は税務署や専門家などに相談しましょう。

株式の相続にかかる税金は?

主に株式での相続にかかる税金について紹介します。

相続税

上記で説明した評価額は、相続税を申告するためのものです。
相続税は株式以外の他の相続財産がどれくらいあるかによって変わってきます。
基礎控除などを活用すれば相続税は払わなくてよい場合が大半です。

もし相続税を払わなくてはいけない場合、納付には株式による物納もできますので現金で納付するのとどちらがよいか考えてみましょう。

所得税・住民税

例えば、親から不動産を相続し相続税を払ったとします。
その後その不動産を他人に売った場合は、その金額に対して所得税と住民税がかかってきます。
さらに家賃収入などがあればそれにも所得税と住民税がかかってきます。

相続によって得た上場株式の場合にも同じことがいえます。
株式を売ったり、配当金を受け取ったりした時はそれに対して税金がかかります。
相続税と所得税・住民税は税金のかかる課税対象が違うのです。

株式をもらって相続税を払い、それを売ってまた所得税を払っていると、なんだか税金を払いすぎている気がするかもしれません。
そこでぜひ覚えておきたい特例があります。
それが「相続税の取得加算費の特例」です。

これは相続で財産を得た人が相続税を払った場合、被相続人が亡くなった日の翌日から3年10ヶ月が経過する日までの間に相続財産を売却するなどして譲渡した場合に使える特例です。
株式の譲渡所得税の計算をする際、支払った相続税(株式の相続部分に相当する金額)を取得費として加算し、控除できます。

まとめ

相続の中でも株式の評価は特にややこしいので、難しいと感じる場合は専門家に相談しましょう。
また、相続税を払った後に株式を売却するならば、3年10カ月以内に売却して取得加算費の特例を大いに活用しましょう。