【離婚した妻】遺言書なしでは財産を相続できない

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死のときにトラブルのもとになるものが相続です。近年離婚率が増えたことで、離婚や再婚に関わる相続トラブルが増えているといわれています。
離婚した妻側の目線で考えれば、離婚したとはいえ夫を支えてきた期間はあるのですから、少しでも相続したいと思うのも当然かもしれません。しかし、原則的には離婚した妻が相続することはできないということをご存知でしょうか?
離婚した妻の相続と再婚後の連れ子の相続についてわかりやすく解説していきます。

離婚した妻に相続権はない

民法890条(配偶者の相続権)には「被相続人(財産を残して亡くなられた人)の配偶者は常に相続人となる」と記されています。

配偶者とは、夫から見た妻、妻からみた夫のことであり、離婚した段階で配偶者ではなくなるので、離婚した妻には相続権はありません。
また民法上では「市区町村に婚姻届を提出・受理された者」が配偶者とみなされるため、内縁の妻や事実婚の妻にも相続権はないことになります。

つまり、婚姻届けが提出されていない場合や離婚届が受理された場合は法律(民法)上では「他人」になるので相続権も発生しないということです。ただし「離婚した妻の子供」は話が変わってきます。

離婚した妻の子は財産を相続できる

夫と妻は離婚すると夫婦ではなくなりますが、夫婦の間に生まれた子供は離婚しても親子関係がなくなるわけではありません。つまり、離婚した妻の子供には相続権があり財産の相続が可能です。

離婚した妻の子は財産を相続できる
そして、子供の相続権は妻が別の男性と再婚した後も継続されるため、妻が再婚後に新しい夫との間に子供が生まれた後でも、子供は元夫(子供からみた実父)から相続する権利を持っています。
もし、子供が死亡などでいなくなってしまった場合は、相続権を持った子供の子供(孫)が相続することになります。

離婚した妻の子は財産を相続できる-02

つまり子供(孫)の相続権は、親の離婚・再婚などに左右されることはないということです。

再婚相手の財産を自分の子供に相続させるには

子供と親の「親子関係」は離婚してもなくなってしまうことがないことはわかったと思いますが、これは「法律上(民法)で認められた親子関係」に限られるということをきちんと理解しておきましょう。

例えば、婚姻届けを提出して受理されれば、再婚(婚姻)が認められて夫と妻はそれぞれ配偶者になり相続権を得ますが、連れ子に関しては新しい父(母)から相続することはできません。
つまり、夫Aと妻Bが離婚して妻Bが子供Cを連れて出ていき、新しく出会った新夫Dと結婚した場合、子供Cは新夫Dから相続できないということです。
子供Cが新夫Dから相続するためには、新夫Dと「養子縁組」する必要があるのです。養子縁組をすることで、子供Cは夫Aと新夫Dの両方から相続する権利を持つことになります。
ちなみに、このとき新夫Dと養子縁組(普通養子縁組)しても、子供Cは夫Aからの相続権は失いません。

再婚相手の子の相続に注意

養子縁組の手続きにより、実子同様の相続権を得る

養子縁組とは、「血のつながりがないもの同士が親子関係を結ぶ」制度のことです。
普通養子縁組と特別養子縁組がありますが、一般的は普通養子縁組が行われます。

養子縁組をするには、養父(養母)・養子の本籍地または所在地の市区町村、もしくは届出人(一般的には子供の実親)の所在地の市区町村に「養子縁組届」を提出する必要があります。

提出の際は、

・養子縁組届
・届出人の印鑑
・パスポートや運転免許証など、届出人の本人確認書類

が必要で、養子縁組届には証人2名(成人)の記入・押印が必要です。

15歳未満の養子縁組には実親の同意が必要

再婚者の連れ子を養子縁組する場合は、一般的には婚姻届が受理されていれば家庭裁判所の許可は必要ありません。
ただし、連れ子が15歳未満の場合は法定代理人からの承諾が必要になります。この場合の法定代理人は実父・実母になることが大半です。つまり実親である離婚した元配偶者からの同意が必要になるので注意しましょう。

夫が引き取った子を遺言書により相続人から外せる

離婚後に元配偶者(妻側から見て元夫)が子供を引き取ることになり、引き取られた子供に自分の財産を相続させたくない場合はどのようにすればいいのでしょうか。
この場合「遺言書」で財産の相続先を指定することで、引き取られた子供への相続を回避することができます。
ただし、子供が遺留分滅殺請求権を行使した場合はこの限りではありません。

遺留分がある為、遺言書の効力は絶対ではない

遺留分とは相続人が最低限の資産をもらえるように作られた制度であり、本来もらえるはずだった法定金額の半分まで請求する権利があります。
子供は遺留分を請求する権利が認められているため、例え遺言書で「財産を相続させない」と決めていても、子供が遺留分を請求した場合は遺留分を相続させる必要があります。
つまり、夫(元配偶者)が引き取った子供への相続を完全に阻止することは難しいということです。

まとめ

残念ながら離婚した妻は配偶者ではなくなってしまうため相続権はありませんが、別れた夫との子供は夫から相続する権利があります。
ただし、自分が引き取った子供に再婚相手の財産を相続させるためには、再婚相手が生きている間に養子縁組をさせる必要があるので注意しましょう。
また、元夫が引き取った子供へ財産を相続させたくないときには遺言書で相続を回避することができますが、子供が遺留分を請求する権利がなくなるわけではありません。遺産の相続を完全に阻止することは難しいことを留意しておきましょう。