【妻の相続】財産の分割、税金などの7つのポイントを徹底解説!

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夫が亡くなってしまった…悲しみの次に妻に訪れるのは、相続の手続きです。夫の財産を、妻はどの程度の割合で相続できるのか、相続する際の手続きの流れや財産分割、税金など、相続する妻が知っておきたい4つのポイントをまとめます。

妻は夫の財産を相続できる?

相続人の優先順位は、法律で決められています。配偶者の妻は常に法定相続人となります。妻のほかに、子供、親、兄弟姉妹・・・どの立場の法定相続人が生存しているかで、妻の相続する割合が変わってきます。

・法定相続人が妻だけであれば、妻は全額相続
・法定相続人が妻、子供のみの場合、妻は全額の1/2を相続
・法定相続人が妻、親のみの場合、妻は全額2/3を相続
・法定相続人が妻、兄弟姉妹のみの場合、妻は全額の3/4を相続

このように、配偶者である妻のほかに、法定相続人の誰が生存しているかで、妻の法定相続分も変わります。

内縁の妻は遺言書がないと相続できない

内縁の妻(一緒に生活しているなど事実上は婚姻関係にあるものの、婚姻届が未提出であるために、法律上では配偶者として認められていない妻)の場合、内縁の妻は法律上配偶者には該当しないため、法定相続人と認められず、基本的に相続することができません。
ただし、夫の残した遺言書に書かれている場合は相続することができます。遺言書を用いれば、相続人以外の第三者の誰であっても、相続財産を受け取る人物として指定されれば相続を行うことが可能です。
また、夫と内縁の妻の間に子供がいる場合、夫が子供を認知していれば、子供は法定相続人となり、相続することができます。

離婚した妻も遺言書がないと相続できない

離婚した妻も、内縁の妻と同様、婚姻関係を解消して配偶者ではなくなっているため、基本的に相続することはできません。「離婚した妻に財産を残す」という遺言書があれば相続することができます。

ただし、夫と離婚した妻との間に子供がいる場合は、離婚しても親子関係がなくなる訳ではないため、子供は相続することができます。離婚した妻との間にいる子供は法定相続人なので、逆に財産を相続させたくない場合も遺言書が必要になります。

妻が相続する割合

財産の分割について、子供がいるケース、子供がいないケース、また、夫と婚姻関係にないケースなどによって財産の割合が全く変わります。

財産の相続割合「子供がいる」

子供は第1順位の法定相続人です。子供が複数いる場合は、全員が法定相続人となって、相続分は頭割りで計算されます。子供が一人でもいる場合は、残された妻と子供で夫の財産をすべて相続できることになります。

子供が1人の場合は

妻が財産の1/2

子供が残りの財産の1/2を相続

子供が2人(兄弟)の場合

妻が財産の2分の1
子供の一人(兄)が1/4
子供の一人(弟)が1/4(子供2人、合わせて1/2)を相続

財産の相続割合「子供がいない」

子供がいない場合、配偶者である妻のほかに、法定相続人の誰が生存しているかで、妻の法定相続分も変わります。子供がいない場合だと、妻のほかに法定相続人が誰もいない場合のみ、妻は夫の財産をすべて相続できることになります。

親1人が生存している場合

妻が財産の2/3
親が財産の1/3を相続
(両親が生存している場合は、1/3を2人で割る)

兄弟1人が生存している場合

妻が財産の3/4
兄弟が財産の1/4を相続
(兄弟が複数人生存している場合は、1/4を複数人で割る)

妻に全財産を相続させることは可能?

長年連れ添った妻に全財産を残したいと考える夫は少なからずいるでしょう。そのような場合、遺言書に「妻に全財産を相続させる」と記載したとしても、実は必ずしも妻に全財産が相続できるとは限りません。

遺留分には抗えない

遺言書を残す際には「遺留分」に注意しなければなりません。遺留分とは、法定相続人に認められる最低限の財産の取り分のことです。遺言書に「妻に全財産を」と書いてあっても、妻以外の第1順位、第2順位の法定相続人は、遺言書が無ければもらえるはずだった法定相続分の相続額を請求できる権利(遺留分減殺請求)があるのです。

遺言書に「妻に全財産を相続させる」旨を記載すれば、法定相続人第3順位である夫の「兄弟姉妹」の相続分は、妻が相続することができます。兄弟姉妹には遺留分は存在しないからです。
しかし子供や親といった直系親族には遺留分があるため、遺留分減殺請求をされてしまうと、それ相応の割合で財産を分割しなければなりません。請求された遺留分には抗えないので、注意が必要です。

妻が相続する際の流れ

妻が夫の財産を相続するにあたって、一連の流れを説明します。

① 遺言書の有無を確認
まずは夫が生前に残した遺言書が残っていないかを確認します。遺言書が残っていれば基本的に遺言書の内容にしたがって財産を分割し、残っていなければ相続人が集まって遺産分割協議を行い、財産の分け方を決めます。

② 相続財産を調査
相続財産には、現金、不動産、銀行預金、生命保険、賃金債権など、プラスのものからマイナスのものまであります。関係機関に問い合わせて、必要な情報を集めましょう。

③ 法定相続人を確認
財産を受け取る権利のある法定相続人が誰にあたるのかを確認します。夫に兄弟がいて兄弟が亡くなっていた場合、兄弟の子供である甥姪は代襲相続人となり、法定相続が認められます。思いもよらない相続人があらわれるかもしれないので、夫が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本や除籍謄本を取得して、夫の親族関係を確認しましょう。

遺産分割協議とは

遺言書がない場合は、相続人全員が話し合って財産分割の方法を決めなければなりません。この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。遺産分割協議は、すべての相続人が集まって遺産分割の方法を話し合わなければなりません。ひとりでも漏れていると遺産分割協議が無効になってしまうので、疎遠な人にも連絡をして、協議に参加してもらう必要があります。

遺産分割協議書を作成して遺産分割

遺産分割協議で決まったことを有効なものにするためにも遺産分割協議書の作成は欠かせません。遺産分割協議書は、相続人が話し合って決めた遺産分割の方法をまとめた書類のことで、遺産分割協議が完了していることを周囲に証明する重要な書類で、相続人同士の契約書の役割もあります。
遺産分割協議書は、相続人全員の署名(記名)押印が必要になります。ひとりでも欠けていたら無効になりますので注意が必要です。

妻が相続する財産にかかる相続税は?

遺産分割協議で決まった相続分の財産には、相続税がかかることがあります。この相続税は誰にでもかかる税金ではなく、一定の金額以上の財産を残して亡くなった人にだけかかる税金です。この一定の金額のことを、基礎控除といいます。

基礎控除の金額は、以下の計算式で計算します。

基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の人数)

例えば、夫が亡くなり、法定相続人が妻、長女、長男の3人の場合で考えてみましょう。
3000万円+(600万円×法定相続人が3人)
=3000万円+1800万円
=4800万円

妻が相続する財産にかかる相続税は?(基礎控除)

この場合、財産の合計額が4800万円までは、相続税を申告しなくてよいことになります。4800万円を超えた場合、相続税がかかります。相続税の申告と納付には、相続開始後10ヶ月以内という期限がありますので、注意が必要です。相続税は「相続人の人数が多ければ多くなるほど少なくなる」という性質も持っています。また、配偶者には基礎控除額とは別の配偶者控除という制度があります。

配偶者必見!配偶者控除とは?

配偶者控除とは、夫婦間(配偶者間)で相続する場合は、最低でも1億6000万円、または、法定相続分のいずれか多い金額まで相続税が控除されるという制度です。こちらも、例をもとに見ていきます。
例えば夫の財産が2億円あり、法定相続人として妻と長女がいる場合、
妻の相続分は1/2の1億円
長女の相続分は1/2の1億円になります。
妻の相続分は、配偶者控除の上限額である1億6000万円に達していないため、妻の相続分は相続税を支払わなくてもよいことになります。

また、夫の財産が4億円あり、法定相続人として妻と長女がいる場合、
妻の相続分は1/2の2億円
長女の相続分は1/2の2億円になります。
妻の相続分は1億6000万円を超えていますが、法定相続分の2億円までは相続税を支払わなくてもよいのです。

妻は二次相続に注意!

配偶者控除によって相続税が免除されるなら、なるべく多く妻に相続させよう、と思う方もいるかもしれません。しかし配偶者控除を利用することで、二次相続の時にかえって相続税が高くなってしまいます。
例えば、夫が亡くなった後で妻が亡くなったとすると、「一次相続」とは夫が亡くなったときの相続、「二次相続」とは妻が亡くなったときの相続のことをいいます。

妻は二次相続に注意!

二次相続の対策方法

配偶者間の場合は配偶者控除が適用でき、相続税を免除できますが、残された妻が亡くなったときの二次相続では、残された子供に課される相続税負担は非常に重いものになり、不動産などを処分しなければならなくなる事態も考えられます。節税対策も含め、二次相続までをトータルで考える必要があるのです。

二次相続で支払う相続税を抑えるためには、一次相続で妻が必要以上に財産を相続せず、なるべく子供が取得することです。特に、将来的に見込額が高くなると思われる財産(地価によって変動する不動産や株など)は、妻が取得して資産を大きくしてしまうと、その分二次相続で相続税が膨大になってしまいます。そういった点からも、子供が取得しておくべきなのです。

二次相続税対策の具体的な方法については以下の記事を参照してください。

【二次相続】相続税対策は一次相続だけではない!

まとめ:妻の相続時に知っておくべき7つのポイント

妻が夫の財産を相続する際に気を付けるべきポイントは、以下の7点です。

  • 法定相続人の優先順位が1番の配偶者である妻は相続できるが、そのほかの法定相続人の存在によって相続できる割合が変わる。
  • 内縁関係や離婚後の妻は法律上配偶者とはみなされないため、遺言書が無ければ相続できない。
  • 子供がいる場合は、妻と子供で全相続額を相続できるが、子供がいない場合は生存している妻以外の法定相続人によって妻の相続割合が変わる。
  • 遺産分割協議書は、遺産分割が整っていることを周囲に証明する大切な書類。法定相続人同士で話し合い、遺産分割協議をしたら必ず作成する。
  • 配偶者控除により妻が相続した財産には基本的に相続税はかからない。
  • 遺留分という権利があるため、妻に全財産を相続することはできないが、遺言書に書き記しておくことによって、法定相続分以上を相続することが可能。
  • 二次相続のときのことまで考えて、一次相続をする。

夫婦だからといって妻に全額が相続されるとは限りません。財産の分割や税金のことなど、基本的な考え方や知識を理解した上で、順序立てて手続きを進めましょう。