【遺言書がない場合】5つの相続手続きと流れ

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被相続人が亡くなり遺言書が遺されていなかった場合、相続はどのように行ったらよいのでしょうか?遺言書の有無を確認する際に知っておきたい遺言書の種類、相続の手続きや流れ、財産調査のチェックポイントなどをまとめて解説します。

遺言は4種類

遺言書の書き方は民法で定められていて、法律で決められた範囲内で書かれた遺言書でないと効力がありません。遺言書には普通方式の遺言書特別方式の遺言書の2つの形式があり、ここではそれぞれについてご紹介していきます。

1.自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言書を被相続人が全文、日付、氏名を自筆で書き、捺印して作成する方法です。自筆証書遺言を見つけた場合は、裁判所の検認が必要です。一番簡単な遺言方法ですが、少しの違いで無効になる可能性もあります。

平成30年に可決された相続法改正により、自筆証書遺言を全国の法務局で管理できるようになりました。また自筆証書遺言に財産目録について記載する場合は、ワープロでの作成や自筆の代わりに通帳の写しや登記事項証明書を添付することも可能になり、従来よりも作成が容易になったことが大きなポイントです。

2.公正証書遺言

公正証書遺言とは、被相続人が公証役場へ行き公証人に遺言内容を伝えて遺言書を書いてもらうという方法です。専門家が入ることにより、自筆証書遺言書に比べて確実性があり、裁判所の検認も必要ないので安心です。

公正証書遺言について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

【相続の基礎知識】公正証書遺言の費用・必要書類などを解説

3.秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、被相続人が遺言の内容を知られたくない場合に用いられる方法です。自筆の遺言書を公証役場に持って行き、公証人や証人に封印した遺言書を提出します。遺言書の存在を明らかにしながら、内容は秘密にしておくことができます。

4.特別方式の遺言書

特別方式の遺言書とは、病気やその他の事情で死期が差し迫っている場合や、船の上など一般社会と隔離されているような場合など、特殊な状況下で作成する遺言書のことを言います。特別方式の遺言書は次の4種類です。

1.一般危急時遺言

疾病やその他の理由で死期が差し迫っている場合に行う遺言で、一般危急時遺言を行うには3名以上の証人の立会いが必要です。

2.難船危急時遺言

遭難した船舶の中で、死期が差し迫っている場合に行う遺言で、難船危急時遺言を行うには2名以上の証人の立会いが必要です。

3.船舶隔絶地遺言

船舶の中で一般社会から隔絶されている人が行う遺言で、船舶隔絶地遺言を行うには、船長または事務員1人及び、証人2名以上の立会必要です。

4.一般隔絶地遺言

伝染病などで、一般社会から隔離されている人が行う遺言で、警察官1名と証人1名以上の立会が必要です。

遺言書がない場合の5つの相続手続きと流れ

遺言書がない場合の相続手続きと流れは次の通りです。

1.法定相続人の確定

遺言書がない場合は、まず被相続人の戸籍謄本を取得し法定相続人を確定させなければいけません。相続手続きに必要な戸籍は、被相続人の出生から死亡までの除籍謄本、改製原戸籍、法定相続人が確定するまでの、連続した 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、相続人全員の戸籍謄本です。

戸籍謄本を取得するには、本籍地のある市町村役場での手続きが必要です。本籍地が遠方であったり、窓口に行けないという場合は、郵送による請求も可能です。本籍地が分からない場合は、本籍地の記載がある住民票の写しを取り寄せれば確認できます。

2.相続財産の調査

相続手続きを漏れなく行う為には財産の調査が必要です。相続財産の調査は主に預貯金と不動産になります。相続財産というとプラスの財産ばかりをイメージしがちですが、借金やローンなどのマイナスの財産も相続されるので注意が必要です。全ての財産を調べてまとめ、財産目録を作成しましょう。

財産目録の作成方法などについて詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。

【財産目録】概要・書式・作成方法などを解説!

財産の調査でチェックする5つのポイント

 

  • 1,預金通帳
    通帳からはその金融機関に口座があることが分かります。通帳記入をして残高を確認しましょう。また、入出金記録から保険の加入状況や、株や債券の保有、借入、ローンなどのお金の流れを把握することができます。
  • 2,郵便物
    財産の調査には郵便物のチェックも欠かせません。毎年5月頃に市区町村から送られてくる固定資産税通知書で不動産を所有しているのかどうかが分かります。それだけでなく、金融機関や保険会社の郵便物からどこに預貯金を持っているのか、どこの保険会社と契約しているのかも分かります。
  • 3.登記事項証明書
    不動産の内容を調査するために、登記事項証明書を法務局で取得します。登記事項証明書には、目的の不動産の所在や面積などの詳細、所有権や抵当権、担保権どの権利関係が記載されています。
  • 4.名寄帳
    不動産の調査方法として、被相続人の名寄帳を取得するという方法があります。名寄帳とは、ある人物が所有する不動産の一覧表のことで、不動産を確認することができます。市区町村役場で閲覧が可能です。
  • 5.自宅
    被相続人の自宅に遺言書や不動産の権利書などが保管されているケースが多いため、書斎の机や金庫、タンスなどをしっかり確認する必要があります。

3.相続財産を相続するか放棄するか

相続財産がある場合は、財産を相続するのか放棄するのかを決めます。プラスの財産よりマイナスの財産の方が多い場合は、相続放棄することも法律で認められています。但し、相続放棄をした場合、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続することはできません。相続放棄ができる期限は、被相続人が亡くなってから3ヶ月以内です。

相続放棄をするとどうなる?

相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったことになるので、債務の相続を避けることができます。その場合、相続権は次順位の法定相続人に移ることになります。

相続放棄について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

【相続放棄】流れ・手続き・費用・期限などを解説!

4.遺産分割協議で相続分を決める

遺言書がなく相続人が複数いる場合は、法定相続分を目安に遺産分割協議で分割します。誰にどのように分けるかを、相続人全員の話し合いで決めることになります。話し合いが成立したら、その内容を記すために遺産分割協議書を作成。話し合いが不成立となったら、遺産分割調停や遺産分割審判を申し立てることになります。

5.相続税の申告

相続税は相続開始後10ヶ月以内に、被相続人が死亡した時に住んでいた住所を管轄する税務署に申告しなくてはいけません。期限内に申告しないと加算税が発生してしまうので、遺産分割協議は相続税の申告よりも前にする必要があります。納税期限も申告期限と同様です。

まとめ

相続の手続きは期限が定められています。遺言書がない場合の相続の手続きと流れをしっかり理解しておきましょう。

  • 戸籍謄本を取得し法定相続人を確定する
  • 相続財産をしっかり調査し財産目録を作成する
  • 被相続人が亡くなってから3ヶ月以内に、相続財産を相続するか放棄するかを決める
  • 遺産分割協議で相続分を決める
  • 相続開始後10ヶ月以内に税務署に相続税の申告と納税をする。