時効取得とは?成立要件や共有不動産の相続について解説!

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財産の相続には、家や土地などの不動産が絡むことが多いですが、これらの財産は「時効取得」できる場合があることをご存知でしょうか。

この記事では、時効取得の条件や登記に関するトラブル、時効取得ができる不動産以外の財産について説明していきます。自分が住んでいる家が時効取得に関わる可能性がないかを調べて正しく財産を相続するために役立ててください。

時効取得とは?

時効とは「法律上の根拠に関わらず、事実状態にもとづいて権利を発生させたり消滅させたりする」ことです。時効には、他人のものを一定の期間占有して権利を取得する「時効取得」と、権利を行使しない期間が一定以上の期間続くことで権利が消滅する「時効消滅」の2種類があります。

時効取得とは、例えば不動産であれば、条件を満たして不動産を長期間占有する(住み続ける)ことで不動産の所有権を得られることです。

時効取得が成立すると、例えそれまで「法律では正当でない所有状況」であったとしても「正当な取得」と認められます。ただし、時効取得には条件があり、条件を満たさないと成立しないので注意が必要です。

時効が成立するためには?

時効取得が成立するためには

  • 所有の意思のある占有であること
  • 平穏かつ公然の占有であること
  • 他人のものを一定期間の占有を継続すること

といった条件があります。

わかりやすく言うと「所有する意思(自分に所有権があると思っていること)を示した状態で、一定期間他人のものを所有し続けること。ただし、それは強迫や暴行などによるものではなく表立った状態での所有でなくてはいけない」ということです。

通常は20年以上占有が続けば時効取得が成立しますが、占有を始めたときに「善意無過失(きちんと状況を調べたうえで、他人の所有であることを知らずに占有していたこと)」であった場合は期間が10年間に短縮されます。

相続において時効取得が問題となる場合とは?

相続に関する時効取得では、登記に関わるトラブルが多いといわれています。

登記とは、登記所で取り扱っている「不動産などの権利関係を社会に公示する制度」です。土地の売却する場合や担保に使う場合には、その土地が自身の登記である必要があります。

仮に時効取得で土地などの不動産を相続したとしても、名義が自動的に変更されるわけではなく期限もないため、ひどい場合には何代にもわたって登記が変更されてこなかったケースがあります。

名義人が亡くなったときから登記が変更されるまでの間は、不動産は相続人全員が共有している状態です。この状態で相続人のなかの誰かが亡くなると、その人の権利(財産)は次の相続人に引き継がれていくため、登記の変更がされていないと、権利関係がどんどん複雑化してしまうおそれがあります。

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そして相続の際の登記変更には相続人全員の同意が必要になるため、登記変更を放置する期間が長くなるほど、手続きが複雑化してトラブルも起こりやすくなるのです。登記には戸籍謄本などが必要になりますが、何代にもわたって登記変更されていない場合には相続人の人数も膨れあがるため、必要書類を集めることは大変困難になるでしょう。

20年間住み続けていても、共有財産の不動産は時効取得できない

上記で「20年以上占有が続けば時効取得が成立」とありましたが、共有相続の場合は20年以上住み続けて仮に固定資産税を払っていても時効取得できない場合があります。

これは「自分だけに所有権があると思っている」ことが時効取得の条件になるためです。

例えば、財産である不動産の相続人がA・B・Cの3人いて、Aが20年住み続けていたとしましょう。このときAがBとCにも相続権があることを知っている場合は、時効取得できません。また、BとCから異議を申し立てられた場合も時効取得はできないので注意しましょう。

時効取得は相続税ではなく所得税が発生する

時効取得のときの登記では、登記理由が「時効取得」となります。通常、相続で得た財産には「相続税」が発生しますが、時効取得で得た財産には一時所得として「所得税」が発生するので注意が必要です。

一時所得の金額は

〔 時効取得した財産の時価 - 時効取得のためにかかった費用 - 特別控除額(50万円まで) 〕

で導き出せます。ここから1/2の所得税が課税されることは留意しておきましょう。

不動産以外も時効取得の対象となる

時効取得は、所有権以外にも

  • 地上権・・・工作物の所有のため他人の土地を使う権利。他人が所有している土地の地下に地下鉄のトンネルがある場合などに適用。所有者の承諾なく、補修工事などができる。
  • 地役権・・・自分にとって都合がいい形で他人の土地を使う権利。通行のために他人の土地を通行する権利(通行地役権)など。
  • 永小作権・・・小作料を支払い、他人が所有する土地で牧畜や農作をする権利。
  • 賃借権・・・貸主に賃料を払ことで、貸主は契約の範囲内での使用が可能(ただし、土地賃借権の時効に関しては、客観的な賃借の意思に基づいて土地が継続的に利用されていることなどの条件が必要)

などにも適用されます。

また、ここまでは自宅などの不動産を例に時効取得を説明してきましたが、動産(自動車やパソコン、貴金属などの不動産以外のもの)も時効取得の対象になります。ただし、動産は即時取得制度(条件を満たせば一定の経過に関係なく取得できる制度)が適用されることが大半のため、一般的には時効取得に関するトラブルにはならないといわれています。

まとめ:時効取得の3つの注意点

いかがでしたか。

相続にまつわる時効取得について理解できたでしょうか。

時効取得は20年、もしくは10年住み続けることで不動産などの財産の所有権を得られることです。

相続のときは

  • 他に相続人がいることを知っている場合は20年間住み続けても時効取得できない
  • 時効取得で得た財産は相続税ではなく所得税が課税される
  • 不動産以外の財産も時効取得の対象になるが、条件などがあるので注意する

の3つのポイントに気をつけましょう。

折角20年占有したのに自分の財産にならなかった、時効取得したけど思っていた以上に税金がかかってしまったなどのトラブルを抱えないためにも、時効取得の仕組みを理解しておくことが大切です。

ただし、時効取得には複雑な案件も多いので、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。