葬儀費用を相続財産から払うことで節税対策になる!

お葬式

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大切な人が亡くなったとき、まず直面するのが葬儀費用と相続の問題ではないでしょうか。

葬儀費用は、地域や親族・宗教上の慣習による違いが大きいため、故人や遺族の意思に反して、思いかけず高額になってしまうことも珍しくありませんよね。

今回は、この葬儀費用を故人の相続財産から支払いたいと考えている方に向けて、絶対に知っておくべき情報をご紹介していきます。

葬儀費用の相場と種類から、相続財産からの支払いが認められている葬儀費用の内訳、葬儀費用と相続税の関係まで、必見の項目だけをまとめました。

ぜひ最後まで目を通して、葬儀費用と相続財産の関係をしっかり理解してください。

葬儀とは?

人が亡くなったときに行われるお別れの儀式の総称を「葬儀」と呼びます。

一般的には、家族・親族を中心に、近所や仕事関係の人に参列してもらいながら行う通夜式と、火葬する前の最後のお別れをする告別式の2日間の儀式がこれにあたります。

故人や遺族の意向、宗旨によって葬儀の様式はさまざまですが、通常葬儀には花やお供え物、参列者へのおもてなしや僧侶へのお礼など、多額の費用がかかります。

葬儀費用の相場と種類

葬儀費用の相場は、地域や宗旨、葬儀の規模によってかなり違ってきますが、数十万~200万円程度が平均的といわれています。

また、葬儀にかかる費用の内訳は「葬儀費用」「実費費用」「寺院費用」の3つに分類でき、なかでも「葬儀費用」と「寺院費用」は高額になりやすい傾向があります。

葬儀費用

通夜式・告別式の式場使用料、供花・供物の料金、スタッフ人件費、会葬礼状費、会葬返礼品費など、主に葬儀社に支払う費用です。

葬儀会場の規模や想定される参列者・親族数によって、かなり変動します。

実費費用

死亡診断書または死体検案書の発行費用、病院や警察署での死体の安置・運搬にかかる費用、斎場に支払う火葬料など、主に病院・警察・役所などに支払う費用です。

都道府県や運営媒体によって料金に差があるため、地域差が大きい。

寺院費用

枕経から通夜・告別式での読経、戒名へのお礼やお車代など、主に僧侶や神官など、宗教関係者に支払う費用です。

宗旨や地域、親族間の慣例によって決定されることが多いため、地域差・家庭差が大きい。

葬儀費用には相続財産として払えるものと払えないものがある

地域や慣習によっては高額になることも多い葬儀費用ですが、葬儀費用を故人(被相続人)がのこした相続財産によって支払うことは、可能なのでしょうか?

実は、葬儀費用には相続財産から支払うことができるものと、できないものがあります。

ここからは、葬儀費用のうち相続財産から支払えるものと支払えないものの内訳について、具体的にご説明していきます。

葬儀費用として相続財産から払えるもの

端的に言えば、葬儀費用が「被相続人が亡くなったことに対し、そのお別れや処置のためにかかった葬儀費用である」と認められるものであれば、相続財産から支払うことができます。

葬儀費用として認められる費用の具体例には、以下のものが挙げられます。

  • 遺体や遺骨の捜索、回収、運搬のためにかかった費用
  • 葬式や葬送に際し、またはこの前後に火葬や埋葬、納骨にかかった費用(上記には本葬の他、仮葬儀を行う場合はこのときの費用も含まれています)
  • お通夜など、葬式の前後に生じた通常葬式に欠かせない費用
  • 読経料など、葬儀にあたり宗教関係者にお礼をした費用

つまり、前述した葬儀費用の内訳でいうと、葬儀費用と実費費用の一部、寺院費用のほぼすべてが、相続財産から支払える葬儀費用に当てはまるということになりますね。

葬儀費用として相続財産から払えないもの

一方、相続財産から支払えない葬儀費用には、以下のようなものが当てはまります。

  • 香典返しのためにかかった費用
  • 墓石や墓地の購入、借入にかかった費用
  • 初七日や、以降の法事・法要にかかった費用
  • 医学上、または裁判上の特別の処置に要した費用

上記から、葬儀費用、実費費用、寺院費用のいずれにもあたらない、葬儀後に発生する費用については、相続財産から支払えない規定になっていると理解できますね。

【要注意】葬儀費用の領収書は必ず保管!

葬儀費用を相続財産から支払う場合、葬儀費用にかかった金額は控除対象となり、相続税の課税対象額から差し引かれることになります。

このため、実際にかかった葬儀費用とその内訳が正当なものであることを証明するためにも、葬儀費用の領収書を保管してことが推奨されているのです。

領収書を取っておくことで、後々の相続税に関するトラブルなどを防ぐことにもつながりますので、葬儀費用の領収書はひとまずすべて保管しておきましょう。

 葬儀費用を相続財産から払うことで節税対策になる!?

前述したように、相続財産から葬儀費用を支払った場合、その葬儀費用は相続税の控除対象となり、課税対象からは外れます。

つまり、相続税が課される金額が減るため、葬儀費用を相続財産から支払うと有効な節税対策にもつながることになります。

以下からは、葬儀費用を相続財産から支払うなら知っておきたい注意点を2つ、ご説明していきます。

葬儀費用を相続財産から払うことで単純承認とみなされる可能性がある!

被相続人が遺す相続財産には、現金や不動産などプラスの資産の他にも、借金・債務などマイナスの資産も含まれています。

このため、相続財産の内容を鑑みて相続人が「財産を相続したくない」と判断した場合は、必要な手続きさえ踏めば、相続を放棄することも可能です。

しかし、相続人が指定の期間内に必要な手続きをしない、相続財産のうち一部または全部を使用した場合には、財産相続することを「単純承認した」とみなされます。

葬儀費用を相続財産から支払った場合にも「相続財産のうち一部または全部を使用して相続を単純承認した」とみなされる可能性があります。

単純承認し、財産を相続したとみなされれば、相続税の納付義務はもちろん、被相続人の遺した借金・債務などを返済する義務も負うことになるので、十分注意してくださいね。

葬儀費用を相続財産から払った場合でも相続放棄が可能?

前述のとおり、通常なら相続財産の一部または全部の使用は、財産相続を単純承認したという要件として認められるものですが、葬儀費用を例外とする判例もあります。

葬儀費用を相続財産から支払い、かつ相続を単純承認したと認められないためには、以下の2つの要件を満たしていることが前提です。

  • 常識的に考えて、被相続人の社会的地位・身分にふさわしい規模の葬儀費用であること
  • 相続財産から葬儀費用を支払うべき、やむを得ない事情があったと判断できること

この要件さえ満たしていれば、葬儀費用を相続財産から支払っても単純承認したとはみなされず、葬儀後に手続きを踏んで相続放棄をすることも可能とされています。

逆に、以下の例にあるような「社会通念上、被相続人の生前の地位・身分に不相応な葬儀費用」を相続財産から支払った場合は相続放棄が認められないので、注意してください。

【社会通念上、被相続人の地位や身分に不相応とされる葬儀費用の例】

  • 一般的な会社員であったのに、1000万円規模の盛大な葬儀を行った場合の費用
  • 一般的な会社員であった人が、葬儀後に特別に開催したお別れ会の費用
  • 数十人規模の家族葬であったのに、200万円を超えるほど高額になった葬儀費用  など

葬儀費用は喪主が払うことがある?

葬儀の内容や費用、そもそも被相続人の葬儀を行うかどうかについてなど、葬儀についてすべての決定権を持っているのは、親族代表として葬儀をすすめる責任者である「喪主」です。

例えば、平成24年には、4人の息子を持つ男性の葬儀において三男が喪主として葬儀を執り行い、葬儀後に父と疎遠であった長男に葬儀費用を請求した例があります。

しかしながら、この男性の葬儀を行うかどうか、また葬儀の規模や費用においても決定したのは喪主の三男であり、長男は何も関与していないことが裁判の中で確認されました。

上記の事実関係から、裁判では葬儀内容を決めた喪主の三男が葬儀費用も支払うのが妥当とされ、長男に支払う責任はないとする判決がされています。

このように、原則的には葬儀費用は葬儀の内容・規模を決定した責任者である喪主が支払うものであるとの解釈が、現在では一般的になっています。

香典は葬儀費用に充てる

一般的な葬儀式では、参列者から故人・遺族への弔いとして、仏式では「香典」、神式では「玉串料」と言った金銭を贈る習慣があります。

金銭をお供えとして贈る風習は、本来持っていた死者への弔いの意味合いから、時を経るにつれて「遺族への金銭的な援助」という意味合いが強くなってきました。

このため、近年では香典は、被相続人の葬儀費用に充てるための金銭的援助を、参列者から葬儀の主宰者である喪主に対して行う贈与の一種であると解釈されています。

上記の理由から、一般的に香典は相続財産とはみなされず、被相続人の葬儀費用として優先的に使われるべき独立した金銭であると考えられています。

また、香典は相続財産とは別の独立した財産であるため、葬儀費用を支払ったうえで香典が残ったとしても、これは葬儀を取り仕切った喪主個人の財産となります。

相続財産ではないので、他の相続人から分割を要求される心配はないことも、あわせて覚えておいてくださいね。

まとめ

平均的な相場が200万円にもなる葬儀費用は、決して安くはありませんよね。

ましてや、急に被相続人が亡くなった場合であれば、喪主や遺族だけで費用を準備すること自体が難しいケースもあるでしょう。

しかし、社会的通念上適切な内容・金額であれば、葬儀費用は喪主や相続人が香典・相続財産から支払うことが認められています。

また、相続財産から葬儀費用を支払っても例外として単純承認としてみなされず、相続放棄できる可能性を残しつつ、葬儀費用は控除対象となるので、節税対策にもなり得ます。

葬儀費用は、亡き被相続人を贈るうえで欠かすことのできない費用です。

香典や相続財産から支払えること、さらに相続財産から支払うことで節税対策にもなることを知っておくだけでも、葬儀にかけられる費用は変わってくるかもしれません。

この記事から葬儀費用を相続財産の関係を理解し、いざというときに備えておいてくださいね。