【相続税申告】4つの注意点・チェックシートについて

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 財産相続のときには申告が必要になることがあります。もし申告のときに申告漏れがあると余計な出費がかかってしまう可能性があることをご存知でしょうか。

しかし、相続をする機会はそこまで多くないので、やり方がわからないという人も少なくないでしょう。この記事では、申告漏れを避けるための相続税申告のためのチェックシートについて詳しく解説していきます。

また、相続の際にトラブルになりやすい4つの注意点の解説もしているので、相続の際に参考にしてください。

相続税申告のためのチェックシートを活用!

国税庁の調査(平成26事務年度)によると、相続税に関する申告漏れの件数は10,151件であったといわれています。これは実施件数の8割を超える件数であり、このことから相続税を正しく申告することの難しさがわかります。

実際、相続は直面する機会も少なく、デリケートな問題が絡むこともあるので他人に相談し難い悩みです。特に初めての相続の場合は、何をしたらいいのわからず困ってしまうというケースも多いのではないでしょうか。

このような悩みを解消するために、国税庁HPから下記のようなチェックシートをダウンロードすることができます。

相続税の申告のためのチェックシート(平成28年分以降用)https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/checksheet2015/pdf/28-01.pdf

万が一申告漏れがあると追徴課税が発生してしまう恐れがあります。追徴課税は正しく申告していれば払う必要がない税金です。
実際、平成26事務年度の調査では約670億円の追徴があったとされています。

チェックシートは、このような申告漏れによる余計な負担を避けてほしいという目的で国税局が用意したものです。相続の申告をするときには必ずチェックシートを利用して、申告漏れがないようにしましょう。

また、チェックシートを提出することは税務署の心証を良くすることにも役立ちます。他の申告ではランダムで調査対象を選出したり、特定業種の調査に力を入れる傾向があるといわれています。

しかし、相続税に関しては申告が必要な件数がそれほど多くないことから、申告書の内容をチェックして問題のありそうなものから調査が行われる傾向があるといわれています。チェックシートの提出は義務付けられているわけではありませんが、「きちんと申告している」という心証を与えるためにも提出した方が無難です。

ただし、国税庁の作成したものですから節税に役立つ項目はありません。節税したい場合は税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

相続時の4つの注意点

被相続人が亡くなったときは、おおまかに以下のような流れで相続が進められます。

相続を進めていくなかでは、どのタイミングでもトラブルが生じる可能性がありますが、遺産分割協議・遺留分・マイナス財産の相続・不動産の共有が原因でトラブルになることが多いといわれています。これらのトラブルは申告にも響いてくるので注意が必要です。下記で詳しく解説していきます。

1.遺産分割協議に注意

遺産分割協議とは、財産をどのように分割していくのかを話し合うことです。普段会うことがない親族や一度も会ったことがない人と話し合うケースも多くあります。その上、お金が関わるため普段うまくいっている間柄でもこじれてしまうことも少なくありません。話し合いがこじれて親族同士で長期間争うことにもなりかねません。

法定相続分とは、あくまでも法律が設定した目安になります。被相続人が遺言書を作成して財産をどのように分割するかをはっきりさせておくことで、このようなトラブルを回避することができます。

2.遺言書を遺す際は遺留分に注意

上記で説明したように法定相続分はあくまでも目安であり、遺言書では法定相続分にとらわれずに財産を分割することができます。そのため、法定相続分を超えて財産を相続させることもできれば、反対に法定相続分を大幅に下回って財産を相続させることもできるのです。

ただし、配偶者(妻や夫)、子供、直系尊属(両親や祖父母)に関しては遺留分があります。遺言書を作成するときには注意が必要です。遺留分とは最低限相続できる財産のことであり、遺言書でも侵害することができません。

被相続人A、妻B、父C、子供D、子供Eがいて、被相続人Aが遺言書で子供Dだけ全ての財産を相続させると記しても、妻B、父C、子供Eは遺留分滅殺請求をすることで遺留分を相続できるようになります。

ただし、遺留分滅殺請求には自分の遺留分が侵害されたと知ってから1年以内という期限があることは理解しておきましょう。

3.マイナスの財産相続に注意

財産を相続すると聞くと、相続した人の資産がプラスになるという印象があるかもしれませんが、このときの財産には借金などのマイナスの財産も含まれています。つまり、プラスの財産よりマイナスの財産が上回っていると、思わぬ負債を背負ってしまう可能性があるのです。

このようなトラブルは相続放棄をすることで防げます。相続放棄をするとプラスの財産も相続できませんが、マイナスの財産を相続する必要もなくなります。もし被相続人が借金などの負債を抱えている場合は、財産の全容を確認する段階でマイナスの財産がプラスの財産を超えていないかをきちんと確認するようにしてください。

ただし、相続放棄は自分が相続人と知ってから3か月以内という期限があることは留意しておきましょう。

4.不動産の共有に注意

不動産の共有とは、土地などの不動産を複数の人が共同で所有していることです。賃貸料などの収入が発生している場合は、共有している所有者同士で収入を分割することになります。不動産を共有していると、所有者が亡くなる度に相続が発生することになってしまうので注意が必要です。

一つの土地をAとBの2人が共有していてAが亡くなったとしましょう。被相続人Aの財産をC・D・Eが相続することになった場合は土地の共有分が細分化されてしまい、収入や税金の分割などが困難になります。その後BやDなどの共有者が亡くなるたびに、このような細分化が進んでしまいます。


利害関係者が増えてしまえば、売却などの話し合いもまとまりにくくなります。このようなトラブルなどを防ぐためにも、不動産の共有は避けることをおすすめします。

では、不動産の財産を分割するときはどうすればいいのでしょうか。このようなときは、代償分割か換価分割をすることでトラブルを回避することができます。
代償分割とは、共同相続人(相続開始から遺産分割協議まで財産を共有している人)のうち1人もしくは複数人が現物(この場合は不動産)で財産を受け取る代わりに、その他の共同相続人に債務を負担するという分割方法です。

つまり相続人の1人が不動産を相続したら、その人は財産を受け取らなかった相続人に対して本来受け取るはずだった価値と同等の財産(一般には金銭)を支払い、財産を分割するということです。このときの代償になるものは、相続人自身が持っている財産でもかまわないとされています。

被相続人Aと子供B、子供C(配偶者は既に他界)がいて財産が時価9000万円の土地しかなかったとしましょう。子供Bが1人で土地を全て相続した場合、子供Bは子供Cが本来受け取る権利があった4500万円を子供Cに代償金として支払い財産を分割します。
対して、換価分割とは不動産を売却して得た金銭を分割する方法です。

上記の例では、時価9000万円の土地を売却して9000万円の金銭を得てから、子供Bと子供Cがそれぞれ4500万円ずつ相続することになります。

このように代償分割や換価分割を利用すれば、平等に財産を分割することが可能になり、不動産相続後のトラブルも避けることできるでしょう。遺言書を作成するときは、不動産をどのように分割するか明記しておくことをおすすめします。

まとめ

いかがでしたか。チェックシートの活用方法と相続時の4つの注意点が理解できたでしょうか。

  • 遺産分割協議は被相続人が遺言書を作成し、分割内容を明確にする。
  • 遺言書でも侵害できない、最低相続財産である遺留分に注意する。
  • 借金などのマイナスの財産が上回った場合は、相続放棄も検討できる。
  • 不動産の共有は避けるか、代償分割や換価分割を利用してトラブルを避ける。

相続申告のためのチェックシートは、国税庁が「申告忘れが無いように」用意してくれた書類です。申告忘れによる追徴課税を避けるためにも役立ちますが、税務署の心証を良くすることにも役立ちます。節税の項目があるわけではありませんが、必ず提出するようにしましょう。

そして、相続では、遺産分割協議、遺留分、マイナス財産、不動産の共有でのトラブルが多いといわれています。遺言書の作成のときはもちろん、自分が相続する立場になったときも財産の全容は必ず確認して、必要なときには期限内に財産を放棄するようにしてください。