【相続財産隠し】対処法と3つの事前対策

相続財産隠し

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相続人が財産を隠すことで、いざ財産分割しようというときにトラブルが発生してしまうことがあります。この記事では、相続財産を隠すとどうなるのか、財産隠しの3つの事前対策、相続人が財産を隠していた場合の対処法について解説していきます。

相続財産を隠すとどうなる?

相続財産を隠していた場合にどうなるのかを説明していきます。

相続財産を隠していた場合、罪に問われるのか?

財産隠しとは、本来相続人が全員で財産を分割するはずなのに、話し合いなどの前に何らかの方法で他の相続人に見つからないように財産を隠し、自分のものにしてしまうことです。
相続財産は、遺産分割協議が確定して、各相続人の相続分が確定するまでは、相続人全員の「共有財産」という扱いになっています。相続人全員で所有しているはずの財産を誰かが勝手に私利私欲のために使い込んだり、自分の銀行口座へ送金したりすると、厳密に言えば刑事事件ということになり、窃盗罪、横領罪、詐欺罪などの罪になる可能性があります。

上記に挙げた罪名は他人との間で起こる場合であり、親族間の場合は刑法の「親族相盗例」という規定で定められています。「親族相盗例」によると、親族間の窃盗、横領、詐欺などの罪については、家族内部の問題ということで処理され、警察は関与しないということになっています。ですので、相続人に財産を盗まれたからといって刑事罰によって罪を裁くことは難しいでしょう。

刑事罰では難しいですが、民事上では財産隠しの被害にあった相続人が、盗まれた財産の返還を求めることは可能です。しかし、そのための証拠や隠された財産を探すのは、相続人自らが探さなければなりません。調査するのが難しい財産隠しは、なるべく専門家に相談したほうがよいでしょう。

相続財産を使い込んでいた場合は?

 他の相続人が相続財産を使い込んでいることが発覚した場合、どのタイミングで使い込んでいたかによって対処が変わりますが、どちらにせよ基本的には法定相続人はもらうはずだった法定相続分を返還請求することができます。

相続開始に使い込んでいた場合

相続開始前というのは、被相続人が亡くなる前、生前という意味です。この場合、被相続人が財産隠しをした相続人に対して「不当利得返還請求権」という権利を持っています。これは、被相続人が亡くなったあとに法定相続人が法定相続分の割合で相続することができる権利なので、財産隠しをした相続人に対してその他の法定相続人は、自分自身の法定相続分を返還請求することができます。

相続開始に使い込んでいた場合

相続開始後とは、被相続人が亡くなった後になります。このとき、預金は法定相続人が相続分に応じて承継するため、その金額を超えて財産隠しをした相続人が使用してしまった分を、他の法定相続人は返還請求することができます。

 また、「不当利得返還請求」のほかに、「不法行為に基づく損害賠償請求」をするという方法もあります。この二つは、時効の長さ(不当利得は行為があった日から10年、不法行為は損害・加害者を知った日から3年)、弁護士の費用を請求できるかどうか(不当利得は不可、不法行為は可)という違いがあります。親族間での争いになりますが、悪意が強い場合は不法行為として損害賠償請求する場合があります。

相続税の申告時に財産を隠していた場合

相続税の申告時に財産を隠していた場合、税務署の調査により見つかる可能性が高いです。税務署は大きな調査権限を持っており、相続税申告がされると被相続人以外のすべての相続人および親族など、関係者と思われる人の口座情報の開示を金融機関等に請求します。財産隠しをしようと自分の口座に入金していた記録などが一目瞭然ですので、隠し通すことはまずできません。現金だけでなく、株であれば証券会社へ問い合わせますし、不動産であれば登記情報を故人の名前で検索するでしょう。税務署は脱税を見逃さない、徹底的に研究しているプロ集団ですので、甘く見ないことです。

財産を隠していたことが見つかった場合

隠していた財産にも当然相続税が掛かるはずだったのに、それを申告しないということになると、当然ですがペナルティが課されます。「財産を隠していた」という事実と、「財産はもっとあった」という事実に対し、過少申告加算税、重加算税、延滞税などが課税されます。このとき過少申告加算税は隠した財産の5%~10%を課され、さらに加増・隠蔽の疑いということで重加算税30%~35%が課税されます。また、意図的に隠そうとしていて、悪質と判断されれば、刑事罰として5年以下の懲役または500万円以下の罰金を課される場合もあります。

財産隠しの3つの事前対策

財産隠しを事前に対策する3つの方法を説明します。

1.税理士に財産を管理してもらう

親族や相続人ではない、第三者の税理士に財産の管理を依頼することで、財産について常に把握している人が家族の外にいることになり、財産隠しの対策になります。

2.財産目録を作成しておく

財産隠しが発生する原因のひとつとして、「そもそもの財産について誰も把握できていないということがあります。相続が始まる前、できれば生前に財産調査をし、相続分を確認しておくことで、財産隠しのようなトラブルを未然に防ぐことができます。財産調査をした後は、一部の親族だけではなく、できれば多くの親族や相続人で調査結果を共有しましょう。

3.被相続人の銀行口座を凍結

ご家族が亡くなってしまったら、行政に死亡届を提出するのと一緒に、できる限り早く銀行口座を凍結させましょう。銀行口座を凍結させない限り、被相続人のキャッシュカードとパスワードさえあれば簡単にATMからお金を引き出せてしまいます。死亡届を提出すれば自動的に銀行口座が凍結するわけではありませんので、速やかに銀行の窓口で手続きをしましょう。また、葬儀費用など必要なお金を口座から引き出したい際は、なんのために使用するお金を引き出すのかを他の法定相続人に了承を取ってから引き出しましょう。

財産隠しの対処法

 相続人の誰かが財産隠しをしていると疑わしい場合、どのように対処すればいいでしょうか。対処法について説明します。

被相続人の通帳を確認

想像していたよりも財産が少ない…誰かが財産を隠している?と疑わしい場合、まずは被相続人の通帳を確認してみましょう。支出額、収入額などを見比べ、不当に金額が動いていないか、不審な送金がないかなどを確認して、おかしい場合は専門家へ相談しましょう。

まとめ

税務署の調査により、財産隠しは相続税の申告時には必ずと言っていいほど見つかります。自分が気付かないうちに財産を隠されていた、ということにならないように、以下のような事前対策は万全にしておきましょう。

  1. 税理士に財産の管理をしてもらう
  2. 財産目録を作成しておく
  3. 被相続人の銀行口座を凍結

また、もしも残された財産に違和感がある場合は、まずは弁護士や税理士などの専門家に相談してみましょう。